「今度??前にも海外にいたの?」
「うん。
日本にいるのが辛すぎて、アメリカにいたのよ。
リハビリと何度かの手術は全部海外だったの。
今はアメリカに住んでる。」
友人の左手には少しくすんだ指輪があった。
なるほど。
友人は当時も婚約中だったのを覚えてはいたが、どうやらお相手は違う人のようだ。
「向こうに行ってる間に、両親が順番に亡くなってね。
今回もその法要と遺骨をお寺におさめるのに帰ってきたのよ。
だから、次はいつになるかわからないわ。
いろいろ心配してくれてたのに、
……連絡しなくてごめんね。」
友人が謝った。
しおしおとしている。
驚いた。
人は変わるのだなと瞬間思いつつ、凝視していた顔がとても失礼だったのだろう。
すぐに目を吊り上げて怒った。
ここでも友人の怒り顔はいつも通り美人だった。
「人が謝ってるんだから、少しくらいはそれっぽく受け入れなさいよ!」
いつもの友人だった。
そこで笑いがまたドッと起きた時、友人のパートナーらしき人が心配そうにこちらを見ている様子があった。
(続く)