旧暦謹賀新年。暦に国心を静かに想ふ。

旧暦謹賀新年。暦に国心を静かに想ふ。

あけましておめでとうございます。

2021年2月12日は旧暦(太陰太陽暦)におけるお正月です。
いわゆる旧正月と言われ、中国・アジア圏ではこちらの暦の方が主流ですね。
日本もその昔は、といっても新暦(現在の暦)になってまだまだ歴史は浅く、
本来であれば馴染みつつはあれども祀り習慣は旧暦のままで、という景色であってもおかしくないのですが、この時勢はすさまじく浸透し、いつのまにか新暦が当たり前の国となってしまっています。
私自身、生まれたときから新暦でしたので幼いころにこの話を聞いてもイマイチ、ピンとこなかったものですが、今この仕事を生業としているだけに、ばあちゃんたちが暦の話をするときの、何とも言えない寂寥感の滲んだ横顔を鮮明に思い出します。

ある大学の先生?だったでしょうか。誰が書かれた記事であったかは忘れましたが、
古い歴史の中でも、侵略国が早くその国を制圧し支配するためには、その国から元々根付いている言語と暦を撤廃させ、数字の概念を置き換え、文化の継承を途絶えさせることが、その国の民族としてのアイデンティティを損わせ、誇りや結束力を分散消滅させる一番の侵略となる。というようなことを書かれていたことを記憶しています。

実際に日本という国も旧暦を中心においた、その土地独自の農耕暦がありましたが、やがてある一定の時期からそれも途絶え、旧暦で稼働していた呪術とされる祀り事の氣力霊力は消え、地助力によりかろうじてその片鱗を残している程度です。
言語を奪われずに済んだのは奇跡と言えるでしょう。
洞の呪術が継承されなくなったのは、何も暦がなくなったから、というだけではありませんが、大きく影響を受けたことは否めません。
ただお正月を祝うというのは、それはまたそれでとても大切なことなのですが、消えた日本の暦をほんの少しでも懐かしみ、そして変わらず、新暦の中でも自分を、家族、自分を取り囲む環境を愛し、尊び、感謝を思い出す。私たちの血の一部にその国心が根付いていることを思い出し、感じていただければと思う次第です。

 

暦っちゅうんはな、
その国、その町、村、の軸じゃ。
中心じゃ。
その土地の日の出と日の入りあって、
お天道さんの路すじがあって、
月陽の満ち欠けあって、
それがうちらんが、
命のモト(元・基・素・祖)になっちょる
心と体を作りようと。
その長い長い時間と命の積み重ねが
人を作って、
家族を作って、
村作って、
町になって、国になるんじゃ。
暦を捨てる、奪われるっちゅうことは、
国の根っこを盗られることと同じばい。
根っこを作り変えられるっちゅうんは、
元に戻せんちゅうことじゃ。

ばあさまとわたしカテゴリの最新記事