線香の手入れは必須です。

線香の手入れは必須です。

先日、田中角栄邸が火事で大変なこととなりました。
その時の出火原因が線香であったということで、他人ごとではないということもあり、少し手入れについて警鐘したいと思います。

線香のイメージとして、まさか燃え移るなんて?!と思われがちなのは、やはり蝋燭のよにこうこうと炎がないからでしょう。
ですが、線香も扱い手入れによっては火災に発展することは十分考えられるのです。
拙堂も十キロ単位で年間燃やすので、やはり慎重にならざるを得ませんので、あらためて身を引き締める想いです。
同時に私自身が日頃から気を付けている部分を書き留めておきます。
当然ですが、この気を付けている部分でさえも油断はできませんので、重ねて手入れすることは必要です。

まず、燃え残りの線香を香炉の中にためておかないことです。
香炉の中の灰に紛れて残る小さな線香は定期的にしっかりと取り除くか、監視の元、燃え尽きさせましょう。
放って大量にためおくと、これらに着火した際に、知らずと炎を建てて燃えていることがあります。
ひとつひとつが小さくとも、大量にたまってくればそれはしっかりと幹となり、それなりの火薬となってしまうのです。
また、時にパチッ!と爆ぜて周囲に飛ぶこともあります。
これらが引火の元となることもありますので、くれぐれも都度取り除く、もしくはしっかりと燃やし尽くすです。

次に、燃やした後の灰はしっかりと古いものと混ぜ合わせておく
出来る限り、定期的に混ぜ合わせておいて空気を含ませて湿気を飛ばしておきましょう。
燃え残りの予防にもなりますし、元材となる灰の種類によっては可燃性によって灰になるものもあります。
中途半端に火種を残しておかないように、目視含めて確認しましょう。

不意の外出や目を離す時間がある時は、必ず火種を折って取り除く
棒タイプの線香であれば、ピンセットなどを使って折り、火種を完全に取り去ってから離れましょう。
コーンタイプのものであれば、そのものをピンセットで取り出し、専用の皿の上などに移動させて皿に火種を直接触れさせて鎮火させましょう。
場合によっては潔く水にぬらして廃棄するのが賢明です。

香炉を定期的に清掃する
香炉は出来る限り蓋つきのモノを選ぶようにするのですが、これが逆にアダになることがあります。
香炉の蓋があることで、部屋の黄ばみなどが軽減するのですが、その黄ばみの原因となるヤニ脂分が発火の原因となることもあるのです。
これは中華系の食堂やラーメン店などの出火が多い理由と全く同じで、机の上や香炉の表面をどんなにきれいにしていても、ダクトの部分である香炉の排気路や口などが油まみれだと、そこが熱を持って自然発火、もしくは引火することがあるのです。
このヤニ部分は石鹸などを使うと、思いのほか綺麗に剥がれ落ちますので、手洗い等などのためにもひとつ小さな石鹸を専用に持つのもいいかと思います。
これは香炉だけでなく、古い仏壇なども長年の線香油を纏っていることがあるので、専用のクリーナーで磨くことも時には必要です。
場合によってはプロのところに仏壇の磨き直しで出されるのもひとつの方法でしょう。

拙堂でよく使っているお香炉のひとつです。
私はあえて白を使うことで、線香汚れを目視できるようにしており、定期的に丸洗いしております。
また、護符等を燃やす際も飛び移りを防ぎやすい道具にもなっていますので、ご参考にしていただければと。

そして最後に、当たり前すぎることではありますが、
周囲に可燃性のモノを出来る限り排除する
今は比較的不燃材料系のものがありますので、そういうものを利用するのも手ですね。
以前は金襴豪華に垂れものや敷物などが施された仏壇がありましたが、そういった誂えモノも不燃材料で作られるようになっていますので、これを機会に確認しておくのも良いかと思います。

お香はおかげさまのおごちそう(食事)でもあり、暮らしの彩り、心のやわらぎになります。
怖いからやめてしまおう、ではなく、丁寧にひとつひとつを扱うことをすれば怖いことにはなりません。
年齢的なものから、火の元から離れてしまうこともあるかもしれませんが、それまでわずかいくばくかの時間を心地よく過ごし、おかげさまへのご貢献が適いますように、今から手入れをしっかりと見直していきましょう。

以上となりますが、思い当たる部分が他にも出てきたらあらためて加筆修正をしていきます。

まじない雑記カテゴリの最新記事