イラタカ珠のこと

イラタカ珠のこと

去年のブレーメンハウスでは、イラタカ数珠を藍墨で染め上げたものをご用意し、
その収益はすべて丸っと職人さんたちの活動への寄付にしました。

さて、こちらのイラタカ珠はお飾りさまの一部に構成しておりまして、
通常のお飾りさまはお手洗い(御不浄場)には飾れませんが、
イラタカ珠のおかざりさまはそれが可能なように仕込みました。
その意味でも、イラタカ珠のおかざりさまは利便性、融通性が非常に高いおかざりさまです。

いくつもの薬草を天水で沸かし混ぜてから藍墨を溶かして、
イラタカ珠に沁み込ませています。
ですので、ほんのりと薫りが美味しそうな感じがあり、
それらの薫りにもまじないが混ざっております。
まじないは、幾重にも作業という思いが重なることによって仕上がっていきます。
この作業は面倒にみえても、一番楽しい作業ともいえます。
なんなら、ずーっとこの時間を味わっていたいほどには心地よく、
時間をうっかり溶かしてしまうのも事実です(笑)
この穏やかでゆ~るりと過ごす空間と所作とおかげさまが調和された時に、真実のまじないが成立します。
その成立が本当の意味での厄除魔除けが仕上がると言っていいでしょう。
そして、この成立のエネルギーを珠に沁み込ませているのですが、
実際に個展でこの珠を手に取った方が、

「トーラス状にクルクルと光が回転していて、
光っていて、綺麗で感動しています」

と感想をスタッフに伝えてくれていたようです。
誰にもこの仕事の状態は話したことがなかったのですが、
わかる人には見えてしまっていたのだろうな、と不思議な感覚と同時に有難い気持ちでいっぱいです。
まじないのひとつひとつに、しっかりと想いを乗せる丁寧さはこれからも忘れずにいたいですね。

ただこのイラタカ珠さんの欠点は、
色留め等が足りていないので、
濡れたり、こすれたりすると、色取れ、色移りが必ずあります。
ですから持ち歩き等には不向きでしょう。
個展当日も授与の際にお伝えはしてありますが、
お手元にある方は、あらためてお気をつけていただければと思います。

色留めについては、どうしてもどうにも、
化学的にもまじない的にも、初手で完全に仕上げるのは難しい状態です。
課題の一つとして、これからも自分に練り込んで作業をきわめていきたいですね。

まじない雑記カテゴリの最新記事