【雑記】占術の相性を想う

【雑記】占術の相性を想う

ある日の占術家の方との話。

その方は長らくとお仕事を続けており、お弟子さんを含め、たくさんの生徒さんを輩出した方です。
表立って動く方ではなく、いつもそっと世界の片隅に存在されているようなそういう方で、私の尊敬する方々の一人でもあります。
その方が珍しく、大変珍しく、ボヤくというか、こぼれ出してしまった言葉にとても頷かされました。

「期待していた私がよくなかったのはわかってるのよ。
とても将来が楽しみだった生徒さんがね、占術の相性が悪いようだから、教えている占術はやめます。って言って去ってしまったのよ。
あと少し、ほんの少しの踏ん張りというか、視線を変えれば、とてもうまく使いこなせるようになったと思うのだけどね。
みんな、そのあと少しの踏ん張りというのがどうしても受け入れられないみたい。
特に今どきの30代の人たちにみれる傾向なのかしらね。ここが一番教え甲斐もあるし、人生に役立てるにもとても適した世代だと思うのだけど、どうにも解釈違えることが多くて、私のような老齢には指導なんてことができなくなってるわ。」

柔らかに吐き出すため息の美しさにうっかりと魅入られてしまいかけましたが、この先生がおっしゃることはよく耳にすることでもあり、実際に私自身が体感する出来事としても共通するものがありました。

「なんでもかんでもと、”相性”というものに固執する方が多くて困るわ。
占いをやっている以上は、相性について避けては通れないことがあるのは事実だけれど、なんでもかんでも相性で片づけたり、星のせいにするのもまた違うことなのよ。相性の使い方はそういうことではないのよ。」

私「そうですね。相性の良し悪しにこだわる傾向が強いのは年々感じています。
良し悪しの悪しを失敗と捉える方も多いですし、失敗は絶対にダメだという風向きが強いのも現状ですしね。
失敗が自分の人生のすべてを台無しにしてしまう、とさえ思う傾向が30代世代には多いのはわかりますし、
この世代が少しずつ40代前半にも入ってきてるので、転職や結婚離婚の相談においては、
相性を言い訳に、短絡的感情判断と行動・思考決断に使っている人が多いと感じることもあります。」

「相性というものを占い師が軽く使うことが増えているよう思えてならないの。
相性の判断って本当に難しいわよ。星だけの話だと簡単なように見えるけど、
長く生きていればいるほど、相性ってなんだろう?って思うことが増えているわ。」

長らくとお仕事に携わっている先生だからこその、言葉であり、思いであり、経験の欠片なのです。
言葉一つ一つ、思い一つ一つに考えさせられることが多々あります。

「ちょっと占術かじっただけの小童が、占術との相性を語れるなんて、ちゃんちゃらおかしくて臍でお茶が沸くかと思ったわよ。次ね、次。」

美しい面立ちと声色で、何気のさり気に口にされた最後の言葉には、思わず私のほうが口から茶を吹きそうになりました(笑)
まったくもってその通り。
占術を語るには、やはりそれなりの勉強だけでない経験があって口にできるのだな、と改めて自戒の念を持たなくては、と思った一日でした。

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